4) 暴力団の「掟」とヤクザ気質暴力団には、その集団の生活上の行動基準として、制裁を伴う強制的な規範であるいわゆる「掟」という不文律があります。
暴力団は、親分の優越的な支配に対する子分の無抵抗の従属がその基本原則となっており、親分の命令であればそれが理非善悪いずれであろうとも、これに従うのが子分の使命であり、不断の心構えでなければならないというのが、「掟」の根幹をなしています。
すなわち、「掟」はつきつめてみますと、内容的には複雑なものではなく、親分に対する「忠誠心・仁義」、仲間同志に対する「義理・人情」を欠くような裏切り行為を絶対にしてはならないということにつきていると言えます。裏切り行為に対しては、苛酷な制裁が待ち受けています。
こうした「掟」は、組織の一体性を保持して行くための、暴力団の集団生活の慣行から生まれた身分法則であり、いわば、集団と親分に都合よくできています。
このような特殊な倫理観、価値観に支配されている暴力団〜ヤクザ社会では、必然的に一般社会とは異なる独特の行動様式、ヤクザ気質が生まれ尊重されています。
その1つが、彼らは、なににも増して原始的で粗暴な「力」をその信条としていることがあげられます。この社会における地位も支配も、その最後の決定要素は常に暴力であり、その爆発的な行動のみが英雄視されるわけです。これこそが彼らの生命線であり、これを抜きにしてはヤクザ気質はありえないと言っても過言ではありません。
その2つが、いわゆる「男」の観念であります。これは、つまり「男になろう」とか、「男になった」、「男らしい」とか言われるように、抽象化、美化された観念でありますが、暴力団社会では、例えば、敵対する相手との抗争事件で逃走したり、受けた恥辱をそのままにしておくと、いわゆる「男がすたる」として、極力これを排撃しようとする態度に出るといったようなことです。
その3つが、「力」に関連した「攻撃性」であります。すなわち、自分に対立するもの、自分のほかに存在するものを認めまいとする不断の攻撃的態度であります。それ故に暴力団社会では、既存勢力に対抗して新勢力が生まれると、さらに新勢力を倒す勢力が生まれるというように、その地位上昇(売り出し)をめぐって、いわば無限の悪循環が行なわれて行くわけです。
その4つが、彼らの日常行動において最も重要視される「顔」(面子)であります。
暴力団社会においては、「顔」(面子)の問題は彼らの生活基準であり、行動の中核をなすものであります。すなわち「顔」は暴力団社会における身分的序列に直接関連をもち、従って、互いに「顔を売ろう」と張り合い、「顔がつぶれる」ことをもって最大の屈辱としています。つまり顔は、ヤクザの威信を表したものであるところから、「顔(面子)をつぶす」、「顔に泥を塗る」ことを極度に嫌い、このような場合には、その相手方に対して、強烈な物理的反撃を加えることになります。
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