23) マフィア「マフィア」とは、イタリア、アメリカに存在する世界的に有名な秘密犯罪組織のことです。マフィアという言葉は「虚栄」「自慢」を意味するアラビア語がイタリア方言化したものといわれています。
マフィアはもともと、イタリアのシチリア島が発祥の地ですが、その組織化については、いくつかの起源説があります。
その中で、もっとも一般的なものが19世紀の初め、ナポレオン軍に追われたナポリ王室がこの島に逃げ込み、その王室の庇護のもとに、島内の警察権を与えられた者が秘密組織を作ったのが契機であるという説です。
何れにしても、イタリアのマフィアは、ほぼ200年という長い歴史をもち、今ではイタリアの政治、経済社会に深く広く食い込んで、巨額な利権を手に入れており、その影響するところは極めて深刻なものがあるといわれています。
また、EU統合をひかえ、イタリアはマフィアの流入を恐れるEU諸国から、早急にマフィア問題を解決するよう要求されていますが、その道はすこぶる険しいものがあるようです。
イタリアには、このようにシチリア島を中心とするマフィアのほかに、「カモッラ」「ヌドランゲタ」という主要な秘密犯罪組織があり、一般的にはこれらを総称して「イタリアマフィア」と呼んでいます。また、その構成員は約1万7000人位といわれています。一方、アメリカのマフィアは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、大量のイタリア人の移民がアメリカに渡り、そのイタリア人移民によって、本国イタリアと同じような秘密犯罪組織が結成されたことにさかのぼるといわれています。こうして、アメリカに初めてマフィアが現れたのが、1870年頃といわれていますので、アメリカマフィアも長い歴史を持っています。
アメリカのマフィアは、アメリカの土壌で新しく「ギャング」として勢力を伸し、全米の暗黒街に君臨するようになりました。
このアメリカマフィアは、「ラ・コーサノストラ(われわれのものという意)」とも呼ばれています。ところで、最近、我が国の暴力団が、マフィア化することを懸念する声がありますが、そうした、暴力団のマフィア化とは何か、それはすなわち、(1)秘密組織化、(2)テロ化、(3)政治、経済の支配の3つを指しています。
まず、マフィアは完全な秘密組織となっており、組織の秘密を守るために、「オメルタ」と呼ばれる「沈黙の掟」があります。この掟を破った者は、本人は勿論、家族まで抹殺されてしまいます。マフィアのメンバーであっても、他のセクションのことは判らないようにもなっています。
また、マフィアは、利権のためには手段を選ばない凶暴性があり、邪魔者を暗殺することをためらいません。政治家、裁判官、検事、警察官、実業家など社会の支配階層や取締機関などに対しても次々とテロ行為を行ってきています。
さらに、マフィアは、先に述べたように、政治家、政府高官、実業家などと癒着し、政治、経済社会に深く入り込み、これを支配するようになってきています。
これに対して、我が国の暴力団の現状はどうかということですが、かつては暴力団は繁華街に堂々と事務所を構え威勢を誇示してきました。ところが、平成4年にいわゆる「暴対法」が施行されて以降、その適用をおそれて、組織の実態を秘匿するようになってきました。暴力団の秘密組織化が徐々に進みつつあるといえます。
また、暴力団のけん銃による武装化が確実に進行していることが指摘されており、いつ暴発するか判らない危険性を秘めています。
その一方、とくにバブル経済を通じて、暴力団は表の経済社会に着実に進出し、経済的基盤を強化しています。暴力団は、今後とも自己の権益を守りかつ拡大するために、政治、経済社会に一層食い込みを図ってくることは確実です。このように見てきますと、我が国の暴力団がマフィア化するおそれも、全く無しとしないと考えられます。暴力団がマフィア化したら大変なことになります。皆んなの力で、暴力団のマフィア化を絶対に阻止して行かなければなりません。