暴力団ミニ講座

26) 社会運動等標ぼうゴロ
社会運動等標ぼうゴロとは、これを定義的にいいますと、「一定の社会運動若しくは政治活動を仮装し、又は標ぼうして不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活に暴力団と同じような脅威を与える者及びその集団」を指しています。

これら社会運動等標ぼうゴロのうち、現に市民生活に大きな脅威を与え社会的に問題となっているのが、「エセ同和行為」と「エセ右翼政治活動」です。

エセ同和行為とは、同和運動という社会運動を口実にして、企業や行政機関等に対して寄付金を要求したり、機関紙(誌)の購読を迫ったり、あるいは特別融資やその他の取引を強要したりするなど様々な手口を用いて、不法な資金または利益の獲得を図る行為を指しています。また、こうしたエセ同和行為を行なう集団あるいは団体を「エセ同和団体」といっています。

もともと、同和運動とは、いわゆる「部落差別」をなくして、国民の平等権を確立するための運動です。

エセ同和行為は、国民の間に「同和問題はこわい問題である。」といった誤った意識が根強く残っていることに乗じて、正当な同和運動を仮装して、「ユスリ」、「タカリ」行為を行うものであって、正しい同和運動のためにもこうした行為は根絶させなければなりません。

こうしたエセ同和行為が横行するようになったのは、昭和60年代の中頃からといわれています。

一方、「エセ右翼政治活動」とは、正当な右翼政治活動を仮装して、その実、もっぱら不法な資金集めを目的として、民間企業等に対して、政治活動への賛助金や寄付金、機関紙(誌)の広告、購読料などの名目で不法な資金集めを図っている団体の活動を指しています。また、これらの団体を「エセ右翼政治団体」といっています。

こうしたエセ右翼政治団体及びエセ右翼標ぼうゴロは、現在約380団体、約6500人で、年々増加する傾向にあるといわれています。また、彼らの「ユスリ」、「タカリ」の行為も、最近ではだんだん巧妙化、悪質化し、企業の業務上のミスやスキャンダルにつけ込み、面談を強要したり、執拗な電話攻勢、あるいは街宣車を会社や役員の自宅に乗りつけ不正追及の演説をしたりするなどの行為も目立ってきています。その他、市町村議会議員など個人をターゲットにした恐喝などの事案も増えているようです。

以上のような社会運動等標ぼうゴロは、暴力団との「二足のわらじ」を履いているものが多く、暴力団との結びつきが極めて強いのが実状で、暴力団の不法な資金獲得活動の新たな進出領域となっているのが現状です。

したがって、これら社会運動等標ぼうゴロは、暴力団と見倣しても差支えないともいえ、彼らの不当な要求に対しては、基本的に暴力団に対処する場合と同じような考え方で、毅然とした態度をとることが、何よりも必要です。さらに、状況によって、警察や弁護士に相談したりするなど、第三者の援助を求めることも大切なことです。


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